このような経験はありませんか?
設計を終えて、工務店に見積りを依頼すると、予想外の金額に大慌て。コストアップの要因は確かにあった。しかしそれは依頼主家族の強い要望。どうしても実現したい。見積書をチェック。屋根の面積が18㎡も多いではないか!壁の面積も、断熱材の数量も、単価だって前回に比べて高いぞではないか!ロスが出るから建築家が拾った数量ではできないと工務店は言う。さらに、依頼主と決めた玄関ドア、キッチン、ユニットバス等々。工務店の見積りでは全然違うメーカーになっているではないか〜!工務店は、付き合いのある商社の関係でこのメーカーでないとダメだと言う...。結局、大幅に設計変更して、何とか予算内に収めた。当初の設計通りに実現していたら、すごくいい家だったのに...。
また、このような経験も。
工事もいよいよ大詰め。木材の塗装の仕上がり具合が気になって工事現場へ。あれっ、ここは確か木目が見える塗装のはずだったのに、不透明な塗料で塗りつぶされているではないか!現場監督を呼ぶと、内装工事の糊の跡がとれない、このまま塗ると斑になる、なので変更したと言う。勝手に変更するなよ!塗装職人を呼んで協議。サンドペーパーで擦ると糊がとれ、きれいに塗れるではないか。やり直せっ-!
工務店(元請業者)の役割とは何だろうと、考えたことはありませんか?依頼主と専門業者(下請業者)の間に入って、そのために工事費がアップするだけなら、(工務店だって食っていかなければならないから仕方がないとしても)はたしてその対価に見合う仕事をしているのだろうか、と。
建築家がオープンシステムに価値を見出すきっかけは様々です。
関西のある建築家は、日本有数の大きな設計事務所で、都市計画や超高層の設計をしていました。ふと思いました。自分の設計した建物が、人々にどのように使われているか、実感がない。もっと身近な住宅の設計を手掛けたいと、独立して設計事務所を開設しました。たちまち工務店の見積書という厚い壁にぶつかりました。そんな時、オープンシステムを知り、壁が破れました。
北陸のある建築家は、中堅ゼネコンの設計部でビルやマンションの設計をしていました。バブル景気の時、ゼネコンは受注した工事をほぼ丸ごと下請けに振り、まるで商社のような動きをしました。バブル景気が崩壊し、建築家は親の設計事務所を継ぎました。依頼主の要望を実現するために、最も良い方法とは...。やがて気が付きました。そうだ!依頼主と建築家と専門業者の間にある、全ての隠し事を取り除けばいいのだ、と。