建築なんでも辞典

建築の現場で使用されている主な用語についてご説明します。


あ行
あいてさききょうきゅうブランド【相手先供給ブランド】
建築業と製造業は似ている。製造業も下請業者に発注する。しかし、主要な部分は自社工場で造る。あるいは組み立てる。丸ごと他社につくらせる場合は、相手先供給ブランド(OEM)という。建築の下請け比率はほぼ100%だから、家づくりのほとんどがOEMと言えなくもない。ただし、相手先が15~20社もあるOEMである。
いえ【家】
人が住むための建物のこと。「住まい」「住みか」「住宅」「住居」「住戸」「家屋」とも言われる。家族の集まりである「家庭」を指すこともある。また、「画家」「小説家」「建築家」など、職業を指す言葉としても使われる。
イエヒト
株式会社イエヒトの登録商標。「株式会社イエヒト」は、建築の分離発注方式「オープンシステム」を考案して全国に広めている会社。2012年10月1日にオープンネット株式会社から現社名に変更した。「雑誌イエヒト」は、オープンネット株式会社が発行していた雑誌の名称。2010年に休刊。
いえのじゅみょう【家の寿命】
寿命と耐用年数は違う。壊されたときを寿命といい、物理的にどれくらい長持ちするかを耐用年数という。1996年の建設白書に、壊された家の平均寿命の調査がある。この算定方法は、壊されずに残っている建物を除外しているから、寿命が短めに算定される。日本26年。アメリカ44年。イギリス75年。日本の家は、欧米に比べてずっと短い。耐用年数はあっても壊されている。その一番の理由は、設計段階にある。
いらいぬし【依頼主】
家づくりなど、建築の設計や工事を頼む人。「建築主」「クライアント」「建て主」「施主」「発注者」「お客さま」などいろいろな言い方がある。建築基準法など建築関連法規では「建築主」という言葉を使っている。イエヒトのホームページでは主に「依頼主」という言葉を使う。
うけおい【請負】
設計や工事を定められた金額と期間で責任をもって完成させること。「うけまけ」と読めるが、「負けたふりをして請けている」というのが実際の姿に近いと思われる。
うけおいにん【請負人】
設計や工事などを請負う商店や会社のこと。「建設業者」も同じ意味で使われることが多いが、建設業法では建設業の許可を受けた請負人を建設業者としている。「品確法」の対象が「請負人」で、「瑕疵担保履行法」の対象が「建設業者」なので、ややこしい。
エコキュート
電力会社や給湯器メーカーが使用している愛称。関西電力の登録商標。ヒートポンプ技術を利用し空気の熱で湯を沸かすことができる電気給湯器のうちで、冷媒として二酸化炭素を使用している機種の総称。正式名称を「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」という。価格は370ℓタイプで約25万円。寒冷地向けは数万円アップ。
エコジョーズ
ガス給湯器メーカーが使用している愛称。従来のガス給湯器の熱効率がおよそ80%だったのに対し、約15%高い95%の熱効率を実現させた新型のガス給湯器。正式名称を「潜熱回収型ガス給湯器」という。価格は24号壁掛けタイプで約9万円。
オープンシステム
建築家が設計監理をし、工事を複数の業種に分割して、依頼主が直に専門業者と契約する建築のつくり方。株式会社イエヒトの登録商標。設計の自由度や価格の透明性が増す上に、元請業者と下請業者の間に生じていた管理費等が排除される。依頼主と建築家が全体を統括する。
か行
かかくのみえるいえづくり【価格の見える家づくり】
オープンシステムという新しい家のつくり方について書いた書籍。著者は山中省吾。2001年にコスモリバティー社から出版され、半年間で3万部を売るベストセラーに。共同通信社、日経アーキテクチュア、男の隠れ家など多くの書評で取り上げられた。
かし【瑕疵】
備わっているべき機能が備わっていないこと。あるべき品質や性能が欠如していること。欠陥・不備とほぼ同じ意味。あまり使われない言葉であるが、1999年に成立した「品確法」と2007年に成立した「瑕疵担保履行法」で知られるようになった。
かしたんぽせきにん【瑕疵担保責任】
売買や請負契約において、目的物に隠れた瑕疵があった場合に、売主や請負人が負う責任。1999年に成立した「品確法」で、新築住宅の「構造上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」について、それまで2年間だった「請負人」の瑕疵担保責任を10年間と定めた。
かしたんぽせきにんほけん【瑕疵担保責任保険】
2007年に成立した「瑕疵担保履行法」で、新築住宅を請負った「建設業者」と販売した「宅建業者」に「瑕疵担保責任保険」の加入もしくは保証金の供託を義務づけた。国土交通省が認可した保険法人でなければ、瑕疵担保責任保険を販売することができない。耐震偽装事件の教訓から生まれた瑕疵担保責任保険。故意や悪意の過失は保険理論上、免責となるが、構造計算を改ざんした建物にも適用されるとしたら...。保険の概念を超えている。
かしたんぽりこうほう【瑕疵担保履行法】
正式名称は「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」。「品確法」で定めた瑕疵担保責任を履行する資力の確保が目的。耐震偽装事件をきっかけに2007年に成立した。新築住宅を請負った「建設業者」と販売した「宅建業者」に「瑕疵担保責任保険」の加入もしくは保証金の供託を義務づけた。
かべ【壁】
建物のまわりや部屋を区切るためのしきり。困難や障害をたとえていう言葉。壁を破る。『小説・壁』では、壁の合板が引き起こしたシックハウス問題や、日本とアメリカの住宅の壁の違いなど、壁を通して家づくりを見ている。
かんり【監理】
こうじかんり【工事監理】
きそこうじ【基礎工事】
基礎工事は、「土工事」「鉄筋工事」「型枠工事」「コンクリート工事」からなるが、木造住宅では「基礎工事」という業種が確立されている。木造住宅の基礎は、形状がほぼ伝国で統一されているため、使用する型枠は規格化された鋼製型枠が主流で、施工精度が高く作業も早くなった。
きほんせっけい【基本設計】
住宅の設計は、「基本設計」「実施設計」の2段階がある。基本設計は、敷地や家族構成など設計の条件を整理して、依頼主の家族にとって最も生活しやすい「形」を導き出す作業。基本設計では、最終的に建物の配置、間取り、外観、主な仕上げ、設備などの概要を決めるが、最も重要なことは、依頼主の家族の価値観を反映させること。
きょうどうじゅうたく【共同住宅】
⇒しゅうごうじゅうたく【集合住宅】
クライアント
⇒いらいぬし【依頼主】
けんちく【建築】
家やビルなどをつくること。また、つくられた家やビルなどのこと。「普請(ふしん)」ということもある。類似した言葉があるが、主に次のように使い分けられている。「建築」は、建築物一般について使う。「土木」は、道路、橋、水道、ダムなどに使う。「建設」は、大きな建築や道路・鉄道などの工事に使うことが多い。「建造」は、大きな構造物や船をつくるときに使うことが多い。「造営」は、社寺や宮殿を建てるときに使う。
けんせつ【建設】
⇒けんちく【建築】
けんせつぎょうしゃ【建設業者】
一般的には家やビルなどをつくる建築業者と、道路や橋などをつくる土木業者を含めて「建設業者」いう。「工務店」とも言われる。「ゼネコン」は元請として土木や建築を一式で請け負い、「サブコン」は部分を請け負う。建設業法では、建設業法にもとづく建設業の許可を受けた業者のことを「建設業者」といい、土木一式・建築一式・大工・左官など28種類の業種に分類している。
けんちくか【建築家】
建物の設計や工事監理などを職業とする人。一般的には、法律で定められた建築士の資格を有する者のことをいう。「設計者」「設計士」「建築士」「設計事務所」などいろいろな呼ばれ方をされているが、イエヒとのホームページでは主に「建築家」という言葉を使う。
けんちくぎょうしゃ【建築業者】
家やビルなどの建築物をつくる商店や会社。主に元請業者と下請業者に大別される。元請業者は、「ゼネコン」「工務店」「住宅会社」「ハウスメーカー」「ビルダー」などいろんな呼び方がある。下請業者は「仮設足場」「基礎」「大工」「左官」「瓦」「板金」「内装」「塗装」「建具」「畳」「電気」「給排水」など多数の業種がある。ただし、これらの下請業者は場合によって元請業者にもなるので、イエヒトのホームページでは主に「専門業者」という言葉を使う。
けんちくし【建築士】
建築物の設計や工事監理を行う職業、あるいはその資格を持った者。建築士法によって国家資格として定められている。一級建築士、二級建築士、木造建築士がある。設計事務所に所属する建築士や工務店に所属する建築など、いろんな立場の建築士がいる。
けんちくせっけいじむしょ【建築設計事務所】
建築物の計画立案、設計、工事監理等を業務とする事務所。「専業設計事務所」と建築業者の設計部など「兼業設計事務所」に大別され、両者の立ち位置はまったく違う。設計事務所は、建築業者とは独立の関係を保ち、依頼主のために設計や工事監理を行うのが望ましい姿である。
けんちくぬし【建築主】
⇒依頼主【依頼主】
こうじいっかつうけおいほうしき【工事一括請負方式】
⇒こうじいっかつはっちゅうほうしき【工事一括発注方式】
こうじいっかつはっちゅうほうしき【工事一括発注方式】
建築や土木の工事をひとまとめにして一つの建設会社と契約する方式。工事を一括で請負った建設会社(元請業者)の管理費を、それぞれの専門業者(下請業者)の工事費に含めるので、依頼者にとって本当の工事費が見えにくい。
こうじかんり【工事監理】
工事監理者(建築士)が工事を設計図書と照合し、設計図書のとおりに施工されているかいないかを確認すること。工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。また、建築士は、工事監理が終了したときは、その結果を文書で建築主に報告しなければならない。(建築士法第2条7、18条4、20条2) ハウスメーカーや工務店の「設計施工一括発注方式」では、工事監理が軽視されがちで、建築士法の空洞化が指摘されている。
こうじぶんかつけおいほうしき【工事分割請負方式】
⇒こうじぶんりはっちゅうほうしき【工事分離発注方式】
こうじぶんりはっちゅうほうしき【工事分離発注方式】
建築工事を一つの建築業者にまとめて契約するのではなく、業種ごとにそれぞれの専門業者と契約する方式。オープンシステムが全国に広まることで「分離発注方式」という言葉が定着した。元請業者と下請業者の間にあった管理費が排除される。また、依頼主が設計や施工に参加するなど、自由度が高い。
こうぞうけいさん【構造計算】
建築物や土木構造物などに生じる変形や応力を計算し、地震・台風・積雪時などの安全を確認する。現在はコンピューターを使った計算が主流。住宅など木造の小規模な建物は、応力計算などを行わず、壁量をチェックなど簡易的な計算が多い。
こうぞうけいさんぎそうじけん【構造計算偽装事件】
⇒たいしんぎそうじけん【耐震偽装事件】
こうぞうようごうはん【構造用合板】
構造上主要な部分に使う目的でつくられた合板。主に木造建築物の、壁の下地材、床の下地材、屋根の下地材として使われている。樹種は針葉樹のアカマツ、カラマツが多い。かつて構造用合板から大量のホルムアルデヒドが放散し、シックハウス問題を引き起こした代表的な建材。現在では製造する過程で使用する接着剤が改善され、ホルムアルデヒドの放散は微量となった。価格は910×1820×12㎜で1枚1250円程度。
こうむてん【工務店】
⇒けんせつぎょうしゃ【建設業者】
こくどこうつうしょう【国土交通省】
日本の行政機関の一つ。略称は国交省。2001年、中央省庁の再編に伴い運輸省、建設省、北海道開発庁、国土庁の4省庁を統合して誕生した。シックハウス問題をきっかけに積極的に欠陥住宅問題に取り組み(旧建設省)、1999年に「住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)」を成立させた。そして、耐震偽装事件を機に「住宅瑕疵担保履行法」を成立させた。
さ行
ざいらいこうほう【在来工法】
木造軸組構法のこと。日本で古くからあった伝統工法を簡略化し発展させた工法。アメリカから入ってきたツーバイフォー工法や、日本で独自に発展したプレハブ工法と区別するために使われた名称。
さかん【左官】
建物の壁や床などを、コテを使って塗る職種。「しゃかん」ともいう。かつての日本建築では大工とともに主要な職人だった。しかし、現在は建築の仕上げにクロスやサイディング等の乾式工法が増え、左官工事は急速に減少した。
さんちょく【産直】
⇒せいさんしゃちょくそう【生産者直送】
じくぐみこうほう【軸組工法】
⇒もくぞうじくぐみこうほう【木造軸組構法】
システムキッチン
調理、洗浄、収納、作業台などのパーツを、一体となるよう組み合わせた日本の台所機器。和製英語。欧米では「ビルトインキッチン」「キッチンセット」「セクショナルキッチン」などと呼ばれている。価格はI型2550㎜で25万円前後が主流。(取付工事費込み)
システムバス
⇒ユニットバス
したうけぎょうしゃ【下請業者】
ある業者が引き受けた仕事の一部を、さらに引き受けてする業者。日本の建築工事は、ほぼすべてを基礎工事、大工工事、内装工事、設備工事などの専門業者が引き受けることで成り立っている。建築業界では、下請業者=専門業者の意味で使われることが多かったが、オープンシステムの普及で「元請専門業者」という言葉が生まれた。
シックハウス
頭痛・めまい・吐き気・鼻炎・皮膚障害などの健康障害を引き起こす住まい。建材や家具などから放散される揮発性化学物質が人体に悪影響を及ぼすと指摘されているが、化学物質に限らず、カビやほこりなどが原因の場合もシックハウスという。
シックハウスしょうこうぐん【シックハウス症候群】
劣悪な室内環境は工場だけでなく、むしろ住宅に多くの問題があることから、上原裕之歯科医師が命名した言葉。住宅の室内環境を原因とする様々な健康障害の総称で、単一の疾患をあらわすわけではない。
シックハウスもんだい【シックハウス問題】
戦後数十年にわたってつくられた数千万戸の住宅のほとんどが、合板やビニルクロスの接着剤などから放散されるホルムアルデヒドやその他の有機性化学物質に汚染されていた問題。住宅の気密性能が増した1990年代に、一気に問題が表面化した。『小説・壁』に問題の背景が詳しく描かれている。
じっしせっけい【実施設計】
基本設計をもとに、建物の詳細を決めるのが実施設計である。例えば、基礎鉄筋のサイズや本数、コンクリートの配合、強度、厚さ等。さらに構造部材の種類とサイズ、下地材と仕上げ材、設備機器、等々。正確な見積りを算出し、間違いのない施工をするために決めなければならないことは無数にある。それらを設計図面や仕様書等で描くのが実施設計である。
じばんちょうさ【地盤調査】
建築物や構造物を建てる際に、地盤の強度や性質などを調べること。地盤調査の方法は、「スウェーデン式サウンディング試験」「表面波探査試験」「平板載荷試験」「ボーリング調査」などいろんな方法がある。建築物の上部構造は構造計算によって精度の高い計算ができるが、地盤については不確定要素が多く、地盤調査による地耐力の算定には誤差が大きい。
じゅうきょ【住居】
⇒いえ【家】
しゅうごうじゅうたく【集合住宅】
ひとつの建物の中に、複数の住居がある住宅の形態。建築基準法上は、「共同住宅」と「長屋」の2種類に大別されている。敷地から階段等の共用部分を通らなければそれぞれの住居に入れない場合を共同住宅といい、敷地から直接それぞれの住戸に入れる場合を長屋という。
じゆうせっけい【自由設計】
依頼主の希望通りにできる設計のこと。ただし、間取りの変更が可能なことや、内装のクロスを自由に選べるだけの不自由な「自由設計」もあり、同じ言葉でも住宅会社によって使われ方は千差万別。本来は、家族の生活から最も暮らしやすい住宅の形を導き出していく設計にこと。
じゅうたく【住宅】
⇒いえ【家】
じゅうたくかしたんぽほけん...【住宅瑕疵担保責任保険】
⇒かしたんぽりこうほう【瑕疵担保履行法】
じゅうたくかしたんぽりこうほう...【住宅瑕疵担保履行法】
⇒かしたんぽりこうほう【瑕疵担保履行法】
じゅうたくてんじじょう【住宅展示場】
実物を見るので、リアル感がある。しかし、錯覚してはいけない。住宅展示場は、敷地が大きく、建材・機器・調度品はハイグレード。住宅会社は、自社の最高級を展示している。なので、模型などではつかみにくい、空間の広さなどを確認する「大きな模型」として、賢く利用すべきである。
じゅうたくのひんしつかくほ...【住宅の品質確保の促進に関する法律】
⇒ひんかくほう【品確法】
じゅうたくメーカー【住宅メーカー】
⇒ハウスメーカー
せいさんしゃちょくそう【生産者直送】
野菜は農家の人が育てている。それがスーパーに並ぶのは、誰でも知っている。「このイチゴは私が育てました」と、顔写真入りのメッセージを見ると、安心する。誰がつくったか、明らかになるからだ。家づくりも同じ。必ず生産者がいる。「この壁を塗ったのは私です」。「私が柱を加工しました」。家づくりの生産者直送方式が、オープンシステムである。
せこう【施工】
建築や土木の工事を実施すること。「しこう」ともいう。
せこう【施行】
実際に行うこと。法令の効力を発生させること。「しこう」ともいう。
せしゅ【施主】
家を建てるときの建て主。建築や土木などを注文した人。寺や僧侶に金品を寄付する人。葬式や法事をするときの主人役。イエヒトのHPでは主に「依頼主」という言葉を使う。
⇒いらいぬし【依頼主】
せっけい【設計】
建物や機械をつくろうとする計画を、図面や計算書などで詳しく示すこと。将来の計画などを立てること。家づくりの場合は「基本設計」と「実施設計」の2種類に分けることが多い。家づくりの設計は、家族を見つめ直す良い機会であり、家族の価値観を設計に反映したいものである。
せっけいじむしょ【設計事務所】
⇒けんちくせっけいじむしょ【建築設計事務所】
せっけいせこういっかつはっちゅうほうしき【設計施工一括発注方式】
一つの会社が設計の契約と工事の契約を同時に行う方式。品質・コスト・施工に関するチェック機能が働きにくく、依頼者が状況把握や意思決定の過程から疎外される可能性がある。日本の家づくりではこの方式が多い。依頼主のためというより、利益の捻出に熱心な建設会社にとって都合のいい方式である。
せっけいせこうぶんりはっちゅうほうしき【設計施工分離発注方式】
設計と施工の会社を分けて発注する方式。依頼者の要望が設計に反映されやすく、品質・コスト・施工に関して設計監理者のチェック機能が働く。公共工事は、原則としてこの方式を採用している。
せんもんぎょうしゃ【専門業者】
工事現場で施工をしている業者。施工の技術はそれぞれの専門業者が持っている。本来は建築現場の主役であるが、下請業者として請負うことが多く、現場では何の権限も与えられていない。オープンシステムの場合は、すべての専門業者が依頼主と契約するので、「元請専門業者」となる。住宅等の小規模な建物では、15~20の専門業者が参加する。
せんもんこうじぎょうしゃ【専門工事業者】
⇒せんもんぎょうしゃ【専門業者】
た行
だいく【大工】
建築物の木工事を行う職人。主に一般的な木造住宅の木材や建材の加工・取り付を行う。大工の統率者を棟梁と呼ぶ。かつては棟梁が住宅を丸ごと請け負っていたが、工務店やハウスメーカーの台頭で、下請業者として大工工事だけをすることが多くなった。
たいしんぎそうじけん【耐震偽装事件】
構造計算を改ざんした確認申請が検査機関の審査に通り、強度不足のマンションやホテルが建った一連の事件。2005年11月に国交省の記者発表で明らかになった。マンション業者が倒産し、「品確法」で義務付けた10年間の瑕疵担保責任が宙に浮いた。この事件を機に、業者の資力確保を目的に「瑕疵担保履行法」ができた。『小説・壁』に事件の背景が詳しく描かれている。
たいようこうはつでん【太陽光発電】
太陽光パネルで用いて太陽光を電力に変える発電方式のこと。ソーラー発電ともいう。再生可能エネルギーの一つ。発電を日照に依存するので昼間の電力ピーク時の緩和になる。開発当初は高価なものであったが、エネルギー変換効率の向上と世界的な需要の増加で近年、価格は急激に下がっている。価格は1kwで約30万円(施工費込み)
たじゅうしたうけこうぞう【多重下請構造】
日本の建築業界をあらわした言葉。高度経済成長期の建設業者は、請負った工事を丸ごと下請業者に発注し、下請業者から更に孫請業者に発注することもあった。それでも元請・下請・孫請ともに利益が確保できた。ゼネコンが商社のような動きをした絶頂期に、バブル経済が崩壊した。
ちゅうもんじゅうたく【注文住宅】
依頼主の希望通りにつくる住宅のこと。依頼主がこうしてほしいと条件や要望をつけることが可能な住宅のつくり方。注文住宅を謳い文句にしている会社でも、一部の注文しか通らない「注文住宅」もある。同じ言葉でも住宅会社によって使われ方は千差万別である。依頼主はおおいに注文をつけるべし。
ちょうきゆうりょうじゅうたく【長期優良住宅】
長期間使用できる住宅を「長期優良住宅」として国交省が認定の基準を定めた。「耐震性」「省エネルギー性」「維持管理・更新の容易性」「劣化対策」「住戸面積」「居住環境」「維持保全管理」などの認定条件がある。認定されるとローン減税などの優遇措置を受けることができる。
ツーバイフォー
⇒もくぞうわくぐみかべこうほう【木造枠組壁構法】
ていきしゃくちけん【定期借地権】
1992年に施行された「定期借地法」に規定される借地権のこと。住宅の定期借地権の期間は50年以上と定め、借地期間が終了しても更新することはできない。また、借地人が借地権を返還するときに、借地人が建築した建物を土地所有者に買い取らせる権利はない。
とくていじゅうたく...【特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律】
⇒かしたんぽりこうほう【瑕疵担保履行法】
な行
ながや【長屋】
 ⇒しゅうごうじゅたく【集合住宅】
は行
ハウスメーカー
「住宅メーカー」とも呼ばれる。「業者が製造して引き渡す」という意味では、すべての住宅会社を「住宅メーカー」と言えなくもないが、プレハブメーカーの台頭とともに、全国をほぼ網羅する住宅会社をハウスメーカーと呼ぶようになった。限られた地域で展開する住宅会社は工務店・ビルダーなどと呼ぶことが多い。日本のような大手ハウスメーカーは海外には存在しない。海外での家づくり(戸建て住宅)は、職人の手をかけてつくる地場産業なのである。
はっちゅうしゃ【発注者】
⇒いらいぬし【依頼主】
ひんかくほう【品確法】
正式名を「住宅の品質確保の促進に関する法律」という。1999年に成立した。新築住宅の「請負人」と「販売人」に対して、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」に10年間の瑕疵担保責任を義務付けた。その後に成立した「瑕疵担保履行法」では、法律を適用する対象者を「建築業者」と「宅建業者」としたので紛らわしい。
プレハブじゅううたく【プレハブ住宅】
あらかじめ部材を工場で生産・加工し、建築現場で加工を行わずに組み立てる住宅のこと。徹底的な規格化で合理化できる反面、現場での変更や増改築などに融通が利かない面がある。一定の販売規模がなければ、工場の維持費などで割高となる可能性もある。大規模な住宅会社が存在するのは、日本の住宅業界の特徴でもある。世界の住宅着工数トップテンの企業は、日本のハウスメーカーが独占している。
ぶんりはっちゅうほうしき【分離発注方式】
⇒こうじぶんりはっちゅうほうしき【工事分離発注方式】
⇒せっけいせこうぶんりはっちゅうほうしき【設計施工分離発注方式】
ま行
マンション
日本では大型の共同住宅を表す言葉として使われているが、元の意味(mansion)は、領主や貴族の大邸宅を指し、共同住宅の意味はほとんどない。英語ではコンドミニアム(condominium)もしくはアパートメント(apartment)に相当する。
もくぞうじくぐみこうほう【木造軸組構法】
木造建築の構法のひとつ。日本で古くから発達してきた伝統工法を簡略化し発展させた構法で、在来工法とも呼ばれている。主に柱や梁といった軸材で主要構造部を組み、設計の自由度が比較的高く、日本の木造住宅では最も多い構法である。
もくぞうわくぐみかべこうほう【木造枠組壁構法】
2インチ×4インチの部材(1インチ≒2.54㎝)でフレームを構成することから、ツーバイフォーと呼ばれることの方が多い。迅速な住宅建築を必要としたアメリカの西部開拓時代に、誰でも釘と金づちがあれば造れる工法として普及した。
モデルハウス
⇒じゅうたくてんじじょう【住宅展示場】
もとうけぎょうしゃ【元請業者】
依頼主から直に仕事を引き受けた業者。建築の元請業者は、ほぼすべての工事を業種ごとに分割して再発注することで成り立っている。一般的な木造住宅の場合は、10~20種類の下請業者(専門業者)に分割して再発注している。
もとうけせんもんぎょうしゃ【元請専門業者】
建築の専門業者=下請業者という概念が定着していた建築業界に、オープンシステムの出現で新たに生まれた言葉。オープンシステムでは、専門業者が依頼主と直に契約するので、下請業者ではなく元請業者となる。
や行
ユニットバス
工場であらかじめ床・壁・天井・浴槽などを成型しておき、現場に搬入した後に組み立てる浴室。システムバスと呼ばれることもある。「ユニットバス」「システムバス」ともに和製英語。英語ではbath module(バスモデュール)という。主要な価格帯は、1616タイプで20~25万円程度。(取付工事費込み)
ら行
リフォーム
住宅を改築したり改装したりすること。「住宅の改装」リフォーム(Reform)というのは和製英語で、最も近い英語はリノベーション(Renovation)。住宅のリフォームは一つひとつが違うため、新築住宅のような規格化・共通化が難しく、設計者の個別対応能力が問われる。デザインとコストの両方を身に付けたオープンシステムの建築家こそ、リフォームの設計に最も適している。