設計や工事の段階から、依頼主には積極的に参加いただけます。インテリアやエクステリア、壁の色や建材の風合いなど、思いのたけを現場にぶつけてみてください。玄関、脱衣、キッチン周りの収納など、奥さまのアイデアが生かされた造り付家具がたくさん実現しています。室、もちろん、参加したいけれどイメージがなかなか湧かなくて、という場合は建築家におまかせの選択も可能。依頼主にとって、とても自由度の高いシステムです。
木部に自然塗料を塗ったり、壁をにしっくいを塗ったり、中には大工工事まで行なう依頼主も。オープンシステムの家づくりでは、なんと約3割もの依頼主が何らかの形で施工に参加しています。中にはブログで参加者を募り、家に興味のある人たちが一堂に壁塗りに挑戦したという例もあるほど。自ら楽しみ、建築費用を浮かし、メンテナンスにも役立つ一石三鳥。自分の手でつくり上げた、という実感が得られるシステムです。
最初はそうでもなかったのに、オープンシステムで住まいを建てているうちに、どんどんエコロジーやナチュラル素材への関心が高まっていった、という話をよく耳にします。知らず知らずのうちに薪ストーブや太陽光発電、雨水利用などに興味を持たれるようで、予算が合うなら、ビニルクロスや合板よりも国産の木材、羊毛断熱材、塗り壁など自然素材を、とお考えの方が多いようです。「自分たちで建てて、自分たちが住む家」という意識が強い分、本来の志向が表面に表れてくるのでしょう。
家づくりという一大プロジェクトでは、依頼主はもちろん、参加した建築家や専門工事業者も、単なる発注者と受注業者という関係を超えて、同じ目的に向かって走ってきた仲間という意識が芽生えるようです。相手にとってためになるアドバイスも、仕事だからといった意識ではなく自然にできるようになるのがこのシステムの特徴。また、中には依頼主同士が知り合いになって、竣工から何年も経つのにずっと交流を続けているという例もあります。